2015年5月22日金曜日

リーバス復活! 「他人の墓の中に立ち」(イアン・ランキン)




スコットランドを代表する警察小説、イアン・ランキンのリーバス警部シリーズ。その最新作「他人の墓の中に立ち」が先月、早川のポケミスから出ました。最終作とみられていた「最後の音楽」から約5年。うれしいシリーズ再開です。

このシリーズは相変わらず、読み応えがある。二段組み、470ページと結構なボリュームだけど、深夜1時まで起きて、一気に読んでしまった。おかげで寝不足だよw

定年退職したリーバスは、未解決事件を扱うセクションで補助捜査員になっていました。そこに持ち込まれた過去の失踪事件が、最新の事件に結びつき……かつての部下だった女性警部シボーンがいる部署を補助するという形で、事件解決に挑みます。

元警部という立場上、リーバスの発言力は極めて弱く、上司に対する態度も昔に比べるとうんと温厚w老いも加わって、リーバスには以前にはなかった哀愁が漂います。
でも、犯罪解決の情熱は今も変わらず。ちょっと掟破りの事件の解決には、思わず「おお!」と声が出ました。

ただ今回は、犯人のキャラクター造形がちょっと淡白すぎかも。唯一の不満点でした。

シボーンとの絶妙な会話、宿敵であるギャングの大物カファティとの微妙な関係、さらにランキンの新シリーズの主人公で内部監査部門のマルコム・フォックス警部補との対立関係などが物語を味わい深くしています。

そして忘れてはならないのが、このシリーズでこれでもかと出てくる古いブリティッシュロックのネタw 今回は、ジョン・レンボーン、バート・ヤンシュ、2人がいたペンタングル、ウィッシュボーン・アッシュなど渋いフォーク・ロック系が出てきます。

小説はイアン・ランキンと親交のあったスコットランドのフォークシンガー、故ジャッキー・レヴィンに捧げられています。レヴィンの「Standing in another man's rain」という歌詞をリーバスが「Standing in another man's grave」と聞き違えてしまうエピソードが小説のタイトルにもなっている。

そしてこの聞き違いが、物語全体のメタファーになっているのですが、これがまた渋い!

マルコム・フォックスのシリーズが新潮文庫から出ているので、早川はもうイアン・ランキンに見切りをつけたんだな、と残念に思っていました。それだけに早川でのリーバス復活は、本当にうれしかった。

情報ソース
http://goo.gl/mb0tfW

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