2013年10月12日土曜日

ダイヤモンド警視シリーズの第10弾「Skeleton Hill」



ピーター・ラヴゼイのダイヤモンド警視シリーズの第10弾「Skeleton Hill」。4年前に出版されているのに、いっこうに翻訳が出る気配がないので、ペーパーバックを取り寄せて読みました。

今回はバース郊外のランズダウンの丘で発見された首なしの白骨遺体と、その近くで撲殺されたホームレスを巡るミステリーです。

ランズダウンの丘は清教徒革命中のイングランド内戦で議会派と王党派が激突した戦場で、発見された首なし遺体は、その時の犠牲者ではないかと思われていたのですが、実はほんの20年前のものであることが判明し、ダイヤモンドたちの捜査が始ります。

無関係に見える複数の事件の隠れた関連性を浮かび上がらせて犯人を特定するのはこのシリーズの特徴ですが、今回も真相は実に意外なものでした。

白骨遺体の身元やホームレスの意外な正体などを割り出していく地道なプロセスでは警察小説の醍醐味をたっぷり味わえるし、最期に事件の意外な真相を明らかにするダイヤモンドの推理は実に鮮やか。ラヴゼイの熟練の手腕に思わず拍手喝采です。

ダイヤモンド警視は最初の頃と違って、上層部と衝突することもなく、ふたつの事件の合同捜査部を見事に指揮します。苦手なハイテク機器も何とか使いこなしているw

ジャーナリストから殺人捜査課の刑事に転職したインゲは立派な戦力に成長。警視とはまるで父娘のような雰囲気にすらなっている。前作「処刑人の秘めごと」で登場した新恋人との関係も順調です。

それにしても早川書房はダイヤモンド警視シリーズに見切りをつけちゃったんだろうか。こんなに面白いのになぁ。売れないのかなぁ……

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